はじめに

 スキーはなぜ滑るのか?スキーをやっていてふと思った。現在のスキーの最高時速は240キロで、スカイダイビングの落下速度より速いのである。当然、私の前にそう思う人はいるわけで、そう考えた多くの研究者はこのことについて色々な方面から追求している。私もこの問題に興味を持ち研究する事にした。

 さてなぜ滑るか?と言うことに関しては、ボーデンの摩擦融解説但)をはじめ、圧力説(9)、ローラー学説(9)、微細水粒説(9)などがある。また、雪と水は平衡状態にあることから雪の表面には水が常に存在する事も事実である。つまり、摩擦熱で初めて水が発生すると思われがちだが、水は初めから存在しているのである。このことから、スキーと雪の摩擦(動摩擦係数)の減少に水が何らかの影響していると考えられる。また温度や雪質によって滑走性が異なる事は明らかで、条件によって滑走の要因は異なるし色々な要因が絡み合っていると考えられる。

 その中で、私は、水と滑走面の相互作用のパラメータとして撥水効果と動摩擦係数の関係を探求することにした。撥水効果は接触面(ここでは滑走面)と水滴のなす角度(接触角)で表す。この効果を引き起こす要因として、滑走面の材質(結晶性の高いポリマー)、滑走面の粗さ、ワックス(有機化合物の薄膜)などが考えられる。これらを操作することにより接触角と動摩擦係数の関係を検討してみることにした。
 



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